安物買いの銭失い?

“安物買いの銭失い”ということわざがあります。

このことわざは、安価な物を買うと、品質が悪かったり、すぐに買い替えなければならなかったりするので、かえって損になるということ。皆さんがお家を建てる時はより安価で良いものを建てたいと思われるでしょう。例外はあるでしょうけど、費用をかければ良いものができる事が多い事と思います。しかし、私たちが施工する解体工事は後になにも残りません。なので、解体工事は安ければ安いほど良いとお考えの方が多いのも事実です。ただことわざにもあるように、解体工事を相場からかけ離れた価格で発注すると“銭失い”の可能性も秘めています。

安い解体工事にはワケがある

解体工事費用の内訳

解体工事費用の内訳は、仮に解体工事費用が100万円必要だとします。そのうち、50万円（50%）が人件費及び機械や車両損料、35万円（35%）が廃棄物処分費、15万円（15%）が諸経費というふうに構成されています。（あくまで比率は例ですが）極端に安い解体工事の見積もりの場合、廃棄物処理費が削減されている可能性があります。

廃棄物処理費用の削減

解体工事業者によっては廃棄物処理費用を抑える為に、あってはならない方法を選択する業者がいると聞いた事があります。よく耳にする『不法投棄』という方法です。不法投棄とは、その名のとおり、法に準じない方法で廃棄物を処分する事です。不法投棄には色々な手法があるそうです。

廃棄物不法投棄の種類

・廃棄物をどこかに捨てる

解体によって発生する廃棄物は、当たり前の事ですが、処分費用を支払って処分許可のある廃棄物処理場に処分をお願いします。そこを削減するために、人里離れた山林などに不法に廃棄物を捨てる業者が存在します。廃棄物を捨てた土地が解体業者の土地であっても不法投棄となります。

・廃棄物を会社の作業場などにため込む

法的には、解体現場で発生した廃棄物は、現場から直接廃棄物処理場に持ち込むのが基本ですが、処理費用削減の目的で、自社の作業場などに持っていきため込む業者が存在します。この方法も不法投棄にあたる可能性があります。

・解体現場に埋める

建築現場とは違い、解体現場にお客様が見に来られる事はまれです。解体現場は大きな重機が所狭しと動いていて、さらに解体中は足元が非常に危険であり、お客様が安全に見て頂くタイミングが少ないというのもあり、解体工事中は解体業者にまかせきりという事が多いです。それをいいことに、解体で発生した廃棄物を、重機で地盤を地中深く掘った穴に埋めてしまうという業者が存在します。

このように安い解体工事にはワケがある場合があるので要注意です。

万が一不法投棄されたら…

依頼した解体業者が不法投棄した事が発覚したら、当然その解体業者には重い罰則があります。

刑事罰

不法投棄の罪は非常に重たく、個人の場合は、5年以下の懲役、もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方。法人の場合は3億円以下の罰金となります。

行政罰

許可の停止や取り消し、不法投棄された廃棄物の撤去命令などの厳しい処分がくだされます。

依頼したお客様にはペナルティはないの?

基本的には不法投棄を主なった解体業者や解体工事業者に依頼した元請け工事業者にその責任が及びます。ただし、例外があり業者に依頼したお客様が不法投棄をすると知りながら工事を発注した場合は、その責任がお客様に及ぶ可能性があります。

損害

業者の不法投棄が発覚した場合、工事現場が休止したり、後の建築工事がやむなく順延されたりとお客様に損害が発生します。また、解体現場に廃棄物を埋められた場合、その廃棄物を掘り起こして撤去しないと建築物が建たなかったり、解体跡地を売却する予定の場合、土地の価値が著しく下がり、買い手がつかなくなってしまったり…とまさに“安物買いの銭失い”状態となってしまいます。